今日はくじ引きで当たっただかなんだかで、子供三人とそのお母さん一人が実験室にやってきました。じゃあ、簡単な実験でもしようじゃないか、と言うことで、1)ドライイーストを砂糖水とただの水で戻して比べる実験、2)制限酵素で切ったプラスミドの電気泳動、3)口腔細胞からのDNA抽出、をやって、おまけで蛍光顕微鏡で細胞を見てもらいました。でも、顕微鏡はわざわざ共焦点のやつでした。おまけが一番豪華です。良くあることです。
子供達に教えると、いかに自分が日々当たり前だと思っていたことが、そうではないかと言うことが分かります。そうか・・・普通ピペットマンとか使わないよね。て言うか、サイエンスを説明するって、ほんとに難しい。だって、顕微鏡で酵母がピコピコ動いているのを見て「細胞動いてるよ!」って言われて、「ああそれは細胞が動く力を持ってるんじゃないんだよ。えーとね、熱で動くんだよ。」って言ったら、先生がぼそっと「何て言うか知ってるかい? ブラウン運動って言うんだよ。」って! それは分かっているさ! でもそれを言ったら分子の熱運動どうのこうのも説明しなきゃならなくなるじゃないか! でも、説明の上手い人は、ちゃんと科学的に、でも子供にも分かるように伝えられるんですよね。小学校の理科の先生のすごい上手い人とか、尊敬です。逆にうちら研究者は、その点素人です。研究の成果をいくら国際会議で発表できても、小学生にはなかなか伝えられません。中学生・高校生・・・下手すると大人にも怪しいもんです。とりあえず、遺伝子って何?って分かってるか分かってないか、ってとこが一つの分かれ目です。まあでも、自然科学の教育ってどれだけやればいいの?ってのは難しい問題です。とりあえず生化学な人間としては「遺伝子」と「酵素」くらいは頑張って欲しいかな・・・。いやあ、だって「遺伝子治療」とか言っても遺伝子が何か分かっていなかったら何を治療してるのか分からないだろうし「酵素のパワーで○○を××!」って言ったって酵素が何か分からなければ、そのパワーも分からないのでは、と思います。そうそう、「科学的方法」もオススメです。科学的なふりして実はものすごい適当なことを言っている薬の広告とかを、せせら笑い飛ばせるようになります。
まあ、そんなこんなで話は逸れましたが、子供達はそれなりに楽しんでいたようなので、良かったです。やっぱり化学系に比べて生化学は地味だなあ・・・。何も燃えないし、何も爆発しないし。電気泳動ってさ、アクションが足りないよ。